98 99 2000 ⇔ 2001
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2月1日〜15日2月16日〜28日

 

 

2/25(日)

最近ラピュタと言うか、ジブリと宮崎さんの事ばかり書いているからと言う

わけではないが … 今日の午後、自転車をカッ飛ばしていたら 知らな

いうちに 小金井市に突入していたので (何キロ走ってんだよ) ここは

ひとつ、毎日海外サイトから引っ張ってきジブリ画像を無断で張りつけな

がら クソみたいな評論もどきをしている事をお詫びしようと、 せっかくだ

から久しぶりに スタジオジブリに行ってみる事にした。(ヲイ)

スタジオジブリは 東京は小金井市の梶野町と言う場所にある。 昔は

“ろくでなしブルース”とかで有名な吉祥寺にあったのだが、デカイ社屋が

必要だったり、緑が少なくなったり いろいろな理由で、1992年に現在

の場所へと引っ越している。 まあ引っ越したと言っても 2駅か3駅くら

いしか離れていないので、 イメージ的には “騒々しい都会化を嫌って、

田舎よりにちょいとスライドした” と言った感じ。(小金井市方向のみな

さんごめんなさい(笑)) ちなみに吉祥寺と言うのは 東京でも有数のサ

ブカルポイントで、 杉並区などとあわせて “その手” の会社が多い。

このサイトで御馴染み “エヴァ” を作ったあのガイナックスも 吉祥寺

にある。(昔はジブリのそばにあったと言うわけ) … まあ、東京に住ん

でいない人にはイマイチわかりずらいかとも思うが、そこらへんは まあ

“単なるお話” と割り切っていただくことにして話を続る。もち、東京なん

ぞに興味の無い方にもわかって頂けるような書き方にするつもりである。



                  (題:変わりゆく世界の匂い)

車やバイクでよく都内をドライブする人や、 私のように 自転車で東京を

横断したり縦断したりしてしまうような人や、 よく景色を見ながら電車に

乗る人にはわかるかもしれないが “東京” と聞いてパッと誰もが思い浮

かべるような “コンクリートジャンゴー” な景色と言うものには “範囲”

がある。 つまり 東京がいくら首都だ都会だと騒いでも、“東京都”ぜん

ぶにニョキニョキと かいわれのパックみたいに超高層ビルが建っている

わけではなく、 “これが東京か?” みたいな … 言ってしまえば “田

舎っぽい東京” と言うのも 端のほうに行くにつれて出てくるものなので

ある。 … まあ、いつかは“都会”が途切れないと、そのまま大阪とかま

でニョキニョキビルが続いてしまうので 当たり前と言えば当たり前だ(笑)

そんなわけで、東京駅とか新宿とか、早い話が山手線の中と その周囲

そして埋立地なんかは “ザ!東京!” と言う感じでサイバーなのだが、

前後左右にどんどん進んでしまうと “ああ〜ええね〜田舎やのぉ〜”な

雰囲気がしだいに漂い出してくると言うわけだ。 … それでまあ、左右

の “左” の “限界” つまり “左方向の都会の限界” は 私の長年

の東京散策の経験から “吉祥寺” か “三鷹” あたりだと思っている。

(イメージ的な話なんで、方角は使いません) 東京駅からずうう〜〜っと

真横に伸びている “中央線” と言う、そのまんまなネーミングの電車が

あるのだが、それをモノサシみたいに考えると、だいたい“西荻窪(にしお

ぎくぼ” と言う駅あたりから “都会バリア” が途切れてきて(笑) 吉祥

寺あたりで “怪しく(笑)” 三鷹を越えたあたりからはもうアレになる感じ

なのです。(わかりにくくてごめん)

つまり、大都会まで電車で30分もかからない、頑張れば普通の人でも自

転車で行けちゃうような距離にも関わらず、 こういう小川みたいなのが

流れ … 住宅の隙間に 小さいけれど くだもの畑みたいなのもチラホ

ラあって … 実に静か。 見上げても雲が見えないような、空をさえぎる

巨大なビルもほとんどない。 でもお洒落な店もあったり、有名な大学と

かもあったり 決して “田舎” とも言えない … そんな不思議な場所に

ジブリはあるわけです。 (これが言いたかった)

私は以前、このスタジオが出来てまだ日が浅い時 ( だから6、7年前 )

知人と散歩がてらに見に行った事があるのですが、 駅から歩いて行く

のと、自転車で “ジブリに行ってみようかな” と 思いついた場所から、

方角と記憶をたよりにそこへ行くのとでは えらい違いで(笑) 2度ほと

『 あり? ここはどこじゃ? 』 と 道中つぶやいてしまいました。まあ

趣味にしてるくらいなんで 地図はいつも持ってますし、方向感覚も人よ

り良いほうだと思ってはいるんですが、あまり行かない場所は やはり

自信だけでは無理ですな。(笑) でもまあ 迷いつつと言うのも趣味の醍

醐味でして、 “自転車なんか面倒くさいくて疲れるよ そんなもん” と言

ってしまえばそれまでなのですが、 … 恐らく電車に乗って あっと言う

まに来てしまう人は気付かないであろう、 微妙な“雰囲気の変化” とい

うものが感じられる時がありまして … 自転車ではバイクよりも特に強

く それがよく感じられて、私は好きなのです。 ( 速度が遅いと言うのも

モノを考えて、感じながら走るのにちょうど良いんだと思う ) … と言う

のも、 前述の吉祥寺(ジブリの美術館が作られる予定の 森の多い井

の頭公園もここにあります) を過ぎてから、このジブリのある場所までと

言うのは 肌に風を感じながら移動すると、実にドラマチックに、雰囲気

が魅力的に移り変わるのです。 簡単に言ってしまえば “都会が田舎の

匂いを含んでゆく過程… ” みたいなものなのですが、 バカと言われる

のを承知で言うと風景や匂いが “ジブリっぽく”(笑)

なってくるんです。(いやマジで) 単に “緑が増える” とか “空気が違

う” とか “ビルが消えて田んぼが” とか言う事のほかに、 なんと言う

か… すれ違う人の “顔” も変わっている気がするのです。(もちろん

暖かい方向に) 背の高い建造物も減ってくるので、 自然と背の高い木

や 雲の流れる空も目に付く … 私にとっては実に不思議で、面白い

変化を感じつつ … やっとこさ、ジブリに到着しました。

ジブリは確か スタジオ見学とかをやっていないし、ちゃんとした住所(つ

まり何丁目何番地みたいな) をあまり公言していない … と言うか明記

していない印象を受けるので、私はここで詳しい場所は書きません。 行

ってみたところでもちろん入れないので意味はないですし (笑) 場所と

雰囲気が そりゃ〜も〜静かで良い所でして、 人の話すざわめきや、

車の騒音、 電車の音、 その他 “都会の喧騒” なんかとは無縁で、

耳をすますと 逆に 森の木の葉が風にザアザアと鳴る音が聞こえるほ

ど静かで、それはもう驚くほどなのです。まあ、この日記を酔狂にも読んでい

るような人に そんな場所まで行って騒いだり 迷惑をかけたりするよう

なバカな真似をする人がいるとは思えませんが、 とりあえずチャリンコで

乗り付けて 『 うふ〜〜・・ ジブリなり〜 宮崎監督でもいるかな〜 』

とか言いつつ おもちゃデジカメで写真とって また走り去るような変人1

人でも 充分迷惑だと思いますので(笑) そこらへんはごめんなすって。 

 

      (ガラスの中の螺旋階段)               (レアな裏口?)

ジブリの建物は 確か宮崎さんの設計だと思いますが、イメージ的には

“曲線の多い”建物です。 そしてガラスが実に多く、日の光が入りまくる

“らしい” 設計になっています。 詳しい事は 本家本元のサイトに詳し

書かれているので割愛。 でも 実に “楽しそうな” 感じのする建物

であることは確かです。 … そして次に印象的なのは なんと言っても

植物。 ツタがからんだり、観葉植物がいたるところにあったり、地面の

コンクリに規則的に穴が空いていて 植物が顔をのぞかせていたり ・・

またまた “らしい” と言うか … そんな感じです。 思わず笑ってしま

ったのは 前は確かに銀色の長方形の本体がしっかりと見えていたはず

の、 『 スタジオジブリ 』 と書かれたプレート。 すっかり緑が生い茂っ

て ほとんど隠れてしまっていました。(笑) 

(“ジブリがいっぱい”の原画展で売っていた 原画集を持っている人は最

後のほうのページに昔の写真が載ってるので見比べてみよう!) まあ、

それを見ながら 『 そろそろ春なのかなぁ・・ 』 なんて(笑) 思いました

とさ。 … ちなみに今日は日曜日だったのでジブリはお休み ( 土曜日

はやってるんだよね、確か ) まあそれは知ってましたし、 だから見物

しに行ったわけなんですが (笑) やはり誰もいないのは寂しかったのぉ

… あ、そういえば こないだ出来た第2スタジオってやつが 隣にありま

して、(地下に試写用のシアタールームあり!行きてぇ〜!) そこには

なにやら工事をしている人がいらっしゃったので パチパチ観光客よろし

く写真撮るのもアレなんで 撮りませんでした。(笑) くわしくは本家本を

見てくださいまし(またかよ) … と 言うわけで、 “意味の無さ” でも

ついにココまで来たか!と言う感じの今日の日記。(^_^;) 宮崎監督が

よく立ち読みしたりしている姿が目撃されると言う ファミマの写真で終わ

りにしたいと思います。(笑)

あ、あと 最後についでに近いから ・・・ と言う理由で、 久々にガイナ

も行ってみました。(笑) 暗くなってしまったので シャッターをONにしよう

かとも思ったんですが、怒られそうだったので OFFのまま撮ったら ・・

シャッタースピード長いんで ぶれてしまいました。(笑) 失敗失敗。

あえてボロイ 旧のガイナです。 風呂屋じゃありません。(笑) 遠目に

見ればもーちょいマシなんですがねぇ… 見ようと思っても見えませんが

(笑)(実はここ、半地下にあるのだ) 一階は出力センターで・・って、これ

は有名なんでやめますね。 あと、置いてある自販機には エヴァ缶を持

ったアスカやレイのシール(?)がぺたぺた一杯張ってありましたとさ。(笑) 

(アスカがいるのわかります?フラッシュやればよかったな(T_T)) 

つーわけで、掲示板にも書いたけど 綾波育成計画、真面目に作れよ〜!

・・ あ BOOK・OFF日記!また書けなかった。 (T_T) 

(ビデオにもなった“もののけ姫ができるまで”とか見れば スタジオの姿はバシバシ出てきてる
 から 私のオモチャ写真なんかより、あとはそっちでも見てくださいね(笑) あ〜こりゃこりゃ )

 

2/24(土)

季節や精神状態によって順位の変わる、私の中の 『 ジブリ作品ラン

キング 』 において、常に上位をキープしている “ラピュタの魅力” に

ついて、ズラズラズラと書きなぐりたいのは 山々だが、それをする場所

はすでに用意してあるので(MUSEの中に) 少なくとも日記で書くつもり

はない。 もちろんラピュタだけでなく他のジブリ作品も同様。 本能の赴

くままに書いているように見えるが、これでも一応我慢しているのだ。(笑)

内容的な事にあまり接触しない話題として、『 ジブリのベストカップル 』

がある。コナンやカリオストロや豚や ジブリにはいろいろなカップルがあ

るが、そのどれもが悪く言えば幼稚で、人間の原始的な恋愛のタイプで

あると言える。 “少年少女向けの作品だから” とか “登場人物が若い

から” とか言うのはバカ野郎の考えで、実はすべてにきちんとした理由

が存在する。 … のだが、それをここで延々と書く気にはならない。(手

がつる) だからと言って 『 宮崎駿にはこーゆー話しか書けないんだ

ろう 』 とか言い出すと それは単に過激なだけの説で、 やっぱり真

実はわからないので無意味だ。 誰か中年男女の退廃的な都会の恋愛

物語でも作って “映画化してくれ” と ジブリまで行ってくれるとありがた

い。 もちろん私はごめんだが。(笑) … とにかく ただ単に “ベストな

カップルは?” を考えると 私はやはり “パズーとシータ” を挙げたくな

る。 タイプとしては “未来少年コナン” と似ていると思うが、 私はコナ

ンよりパズーのほうが好きなのだ。(笑) さらにラナよりもシータのほうが

好き。 理由: シータのほうが “柔らかい” ので。(誰か病院連れてけ)


ともかく、カップルなので パズーは命を賭けてシータを助けようとする。

ありがちな熱血少年ではあるが、その姿勢と“命の賭け方”が実に良い。

私は 彼に隠されたキーワードを “無意識” だと思っている。 … と、

言うのも パズーとシータと言うカップルは劇中に “好きあっている” と

か “愛し合っている” 直接的な描写がほとんどないのだ。 ヒーローと

ヒロインなのにも関わらず、 キスはおろか告白もない。 …まあ、“そん

な事をしている暇もなく、物語が進展したから” と言えなくもないが、観

客はお互いの気持ちを言葉に出して確認してもいない二人なのにも関

わらず 命を賭けて少女を助けようとする少年と、 それを信じている少

女の姿を見るだけで 『 この二人は愛し合っている 』 と認識してしまう。

不思議だとは思わないだろうか? なぜって パズーとシータが 二人だ

けでゆっくり会話をした機会など、ハトのエサをやりつつ自己紹介をした

時くらいしかなかったのに。(笑) 

つまり、私が思うにパズーは、 ある日空から降りて来た 天使のような

可愛い女の子を 自分の両手で受け止めた時からすでに “無意識に”

“惚れて” しまっていたのだと思う。 照れたり 戸惑ったりする気持ちを

あっと言うまに飛び越えて、 その瞬間に “この子のためなら 命を賭け

てもいい”と思う。 … まさに運命的な “一目惚れ” いや、そんなレベ

ルではない なにしろその瞬間に初めて “パズーの人生が始まった” 

くらいのレベルなのだから。 よって、シータが助けを求めているのならば

海賊に囲まれようが、高い崖から落ちようが、炎の中に飛び込もうが、

ラピュタが崩壊して自分が死のうが関係ない。 そして彼はいつも “命

を賭けて” いる事すら感じさせないほど、恐ろしく前向きに彼女を助け

ようと奮闘する。 裏腹の無い、実にストレートで強い想いだ。 “命を賭

ける” なんてクサイセリフを言うのではなく、 『 無意識に 』 『 当然

の事として 』 シータを助けるために 命でもなんでも “賭けてしまって

いる” ここが無意識の無意識たる所以であり、 パズーの凄いところで

あり、あまりにストレートな物語を 違和感なく見せるテクニックでもある。

逆に、シータがパズーを “運命の人” として完全に認めるのは、昨日

の日記(笑)に書いた 前半最後の救出のシーンだと私は思う。 最初の

段階では、必ずしも二人の想いが合致していないのは 炭鉱の地下で

“私のせいでパズーに迷惑かけて…” と シータが言うシーンで よくわ

かる。 シータに拒絶され 憔悴したパズーが再び彼女を助けに行くの

は 少年への試練であると同時に、少女の気持ちの確認作業でもあった

のだ。 これは余談だが、要塞からの帰り道で 人が変わったように落ち

込むパズーの姿から、彼の無意識の“想い”がどれほど強かったかがよ

くわかる。 … まさに人生を否定された気分。 お先真っ暗。 そして 

それと同じように、パズーがいなくなって、明け方 塔の窓際で 一気に

希望を失って無気力になり、呆然としているシータも実に興味深い。なぜ

なら 冒頭のドーラに襲われるシーンでは 同じような絶望的状況であり

ながら、彼女は決して希望を失ってはいないからだ。 一人で生きて来た

少女らしかった彼女は、パズーと出合った事で 本来は自分の中にある

はずの “希望” を パズーの姿に重ねてしまうようになったからだろう。

… もし、私が女性であったら、パズーのように、 運命の相手の人に命

を賭けて守ってもらいたいと思う。 掛け値なしに心から想われるのは、

とても甘美で幸せな事だ。 これぞまさに 勇敢な騎士に助けてもらう 

“お姫様冥利に尽きる” と言うものだ。 少女の永遠の夢 … いつか

白馬に乗った王子様が私をさらいに … と言うやつかな?(白馬の王子

は 見習の機械工の油まみれの少年だったが(笑)) もちろん逆もまた真

なり。(シェイクスピア) 男としては 運命回路にビビッと来た 最愛の女

性を命を賭けて守る事は これ、男冥利に尽きるだろう。 (え?考え方

が宮崎駿レベルに古いって?(^_^;))

つまり “恋愛ばなし” に焦点を絞っているわけではない…夢とロマンの

冒険活劇なのに、 この “天空の城ラピュタ” と言う物語には、理想的

なカタチの恋愛物語が “無意識に訴えかける 無意識のスパイス” と

して巧妙に隠されているのだ。 “こんなふうに愛したい” “こんなふうに

助けられたい” “こんなふうに思いっきり信じてみたい” そういった現代

人に不足している様々な欲求が、知らないうちに満たされているので

この物語は、要塞からシータを助け出す

までが一番面白く、見慣れてくると

ラピュタへ出発してから後は、わり

とどうでも良く感じてしまうのであ

る。(笑)

 

… うわ〜〜 なんてこと書いてんだ、怒られそ〜 (笑)  でも ぶっちゃ

けると、そう言うことなんだと私は思ってるんだけどね。 ほら、読みたい

でしょ? パズーとシータの恋愛話を。(笑)  ウッシッシ (@w@) 

 

2/23(金)

 

丘を超え 視界が開け、

パズーは思わず息を呑んだ。

 

「 どうしたんだい!? まるで戦だよ。 」

 

百戦錬磨のドーラまでも思わず声を上げた。

 

あのいまいましい軍隊の自慢、

鋼鉄の要塞が 真っ赤な火柱をいくつもあげて炎上している。

 

まるで朝靄に煙る空の中に

オレンジ色の巨大なランプが光っているかのようだ。

 

あの炎の中にシータがいる。

 

何故だかわからないけれど、

パズーは確信していた。

 

胸が急げ急げと高鳴る。

 

「 行こう! オバサン! 」

 

「 船長とお呼び! 」

 

ドーラにも異存はない。

 

フラップターは空中を舞うと、

高度を落とし グングンスピードをあげ、

まるで 地面を舐めるような低空で突き進む。

 

「 シャルルよ もっと低く飛びな 」

 

後続のフラップターも、

まるで 蛇がうねるような動作でそれに続いた。

 

林を揺さぶり、

垣根をかすめ、

 

要塞がどんどん近づいてくる。

 

炎に熱せられた 生暖かい風が

風を切るドーラの一団にも吹き寄せて来た。

 

 


 

 

周囲を一瞬照らす 青白い光。

それと同時に轟く爆音と 振動。

 

ロボット兵の腕の中で目覚めたシータは

目に飛び込んで来た周囲の景色に 愕然とした。

 

周囲のすべてが炎に包まれ、

あれだけあった砲台も 原型を留めずに破壊されている。

 

「 ああ … あ … 」

 

頑丈なはずの要塞の外壁は

恐ろしいまでの高熱で 飴のように溶け、

見下ろす大地には 逃げ遅れ、

吹き飛ばされた兵士達の 惨たらしい姿が散らばっている。

 

ビィイイ―――――ッ

ドォン!! ドン!!

 

だが、

自分を抱いている 優しい力とは裏腹に、

非情なロボットは、

光の乱射をやめようとはしない。

 

まるで その姿は、

目に映るすべての敵意あるモノを

破壊しようとしているかのようだ。

 

「 やめてっ!! 」

 

地獄と言うべき惨状に、

唇を震わせていたシータは 思わず叫んだ。

 

しかし 轟音で聞こえないのか、

もしくは 聞くつもりなどないのか、

ロボットの光は なおも殺戮を続ける。

 

「 もうやめてっ!!

    お願いっ!! 」

 

たまらず、

ロボットの手の中から抜け出ると、

シータはその冷たい体をよじ登り …

今まさに 光を放ったその頭部に抱きついた。

 

ビィイイ―――――ッ

… ゴオォォォ・・・ン …

 

乱れた光の矢は、

まるで 水面を跳ねる飛び石のように

地平線の果てまで その猛火を飛び散らした。

 

 

しかし

彼女が必死に抱きついているためか …

ロボットはそれ以上 発砲しようとはしない。

 

かと言って、

彼女を力任せに引き剥がしたりもせず、

ただ … そっと彼女を包み込むように、

ロボットはその 奇妙に長い両手を動かしただけだった。

 

まるでその姿は

少女の戯れに どう対処して良いかわからない

生真面目な従者のようにも見えた。

 

「 …… 」

 

シータは両目を閉じたまま、

依然として 恐怖に身を震わせている。

 

周囲で燃え盛る炎が、

ムッとした熱気とともに 彼女の肌に押し寄せる。

 

自分はこのまま ここで炎に飲まれるか、

それとも このロボットに殺されるのか、

 

恐怖と絶望の中、

まるですがりつくかのように

彼女はロボットの頭を掻き抱く。

 

そして

そんな恐れを待っていたかのように

彼女の上空で

巨大戦艦 がゆっくりと動き初めていた。

 

 


 

 

「 ママ! ゴリアテが動き初めた! 」

 

飛んできた光の矢をやり過ごした次の瞬間、

要塞の上空を指差して、ルイが叫んだ。

 

ドーラが見上げると、

何を狙っているのか … 確かに

戦艦底部の巨大な砲台がまさに砲門を開いている所だった。

 

( チッ … )

 

まさか 軍内部の仲間割れか?

自分の要塞に砲弾を打ち込むような真似はしないだろうと

踏んでいたドーラは、舌打ちをした。

 

「 このまま行くとあいつの弾幕に飛び込んじまう!

  … 出直しだ! 」

 

砲弾の雨の中に

自ら飛び込むのは自殺行為だ。

 

… だが

 

「 あそこだ! シータがいる!! 」

 

その時 隣で 食い入るように

前方を見つめていたパズーが叫んだ。

 

「 どこだって!? 」

 

「 このまま まっすぐ飛んで!

  小さな塔の上にいる!! 」

 

パズーの指差す場所をドーラは睨む。

しかし 少々年季の入った彼女の目では、

小さな人影らしきものは見えるが、

それが あの少女なのかどうかはわからなかった。

 

しかし 迷っている時間は無い。

今を逃せば、二度と侵入のチャンスは無いのだ。

 

「 ようし! 

  オンナは度胸だ、 お前達援護しな!! 」

 

ドーラの声で、

一斉に後続のフラップターが上昇する。

ゴリアテの注意を引き付けるつもりだ。

 

パズーとドーラは 城壁を越え、

炎に飛び込み 身を隠しながら

まるで蝶のように 塔の上のシータの所へと

近づいてゆく。

 

地上で兵士達が騒いでいる。

 

熱気と 壊れた砲台を巧みに交わし、

ついにドーラのフラップターは、

塔の上でたなびく 白いシータの服が

はっきりと見える場所まで辿り着いた。

 

 

「 シータ!! 」

 

 


 

 

「 はっ … 」

 

目を閉じて、

暗闇の中に閉じこもっていた彼女は

自分を呼ぶ 聞き覚えのある声に

弾かれたように顔を上げた。

 

「 パズー!! 」

 

見れば 熱でゆらめく空気の向こうに、

あの 海賊の乗り物に乗ったパズーが

彼女に向かって手を伸ばしながら

近づいて来るではないか。

 

来るはずのない少年。

彼女が自分で

冷たく背を向けたはずの少年。

 

熱さ故の 幻かとも思い

シータは何度も瞬きをする。

 

「 シータ! 今行く! 」

 

だが、

そんな事を力強く否定するかのように、

少年は必死の表情で彼女の元へと近づいてくる。

 

 

「 おばさん、 もっと寄せて! 」

 

嫌な予感を感じながらも、

ドーラは操縦桿を握り ホバリングを繰り返し

塔へと機体を近づける。

 

ビィィン!

 

しかし フラップターの羽が塔の縁に当たり、

跳ね返され … 機体が大きく傾いた。

 

「 くっ!! 」

 

途端に重くなる操縦桿を力いっぱい建て直す。

 

( マズイね、時間がもう無い )

 

頭上からの 降るような殺気に

ドーラは顔を顰めた。

 

「 パズー! 」

 

自分がここにいる以上、

あの飛行機は近づく事ができない。

 

そう悟ったシータは、

ロボットから離れようともがき始めた。

だが

 

「 ・・!!・・

  ・・・ 離して!! 」

 

それを阻止するかのように、

今まで動かなかった巨大な手が

彼女の体を ガッシリと掴んだ。

 

「 ・・ う ・・ うぐ ・・ 」

 

なんとか 逃れなくてはならない。

だが、大きな手は彼女の力ではビクともしない。

 

しかし … 格闘していた彼女の足に、

思いがけない感触が伝わって来た。

 

「 え ・・・ 」

 

自分を掴んでいた手が、

ゆっくりと開かれる。

 

なんと ロボットは、

彼女を そっと塔の縁に立たせたのだった。

 

 

「 ・・・・・ 」

 

シータはその 奇妙なカタチのロボットを

呆然と見つめる

 

すると 彼はその大きな手を

うやうやしく動かして 自分の胸にそっと当てた。

 

ロボットのひしゃげた胸部には

赤い ラピュタの 王家の紋様が光っていた。

 

「 ・・・・ 」

 

シータはやっと理解した。

 

このロボットは、

ずっとずっと彼女を守ろうとしていたのだ。

 

この要塞から、

王女を 救い出そうと戦っていたのだ。

 

… しかし

 

彼女がそれに気付くのは、

ほんの少し遅かった。

 

「 ・・・・ 」

 

シータが 乾いた唇で

何かを言おうとした その瞬間、

 

ドン!

 

鈍い音と共に、

ロボットの 誇り高い胸の紋様に

大きな黒い穴が開いた。

 

一瞬の後、

 

ブシュウウウ!!!

 

まるで飛び散る鮮血のように、

その穴から おびただしい量の

赤黒い液体が吹き出した。

 

シーターは

声にならない声で叫んだ。

 

 

ドン! ドン! ドォン!

 

連発される 砲弾の雨と

飛び散る火の粉や岩や瓦礫に

たまらず パズー達は上昇した。

 

「 シータ!! 」

 

爆音の中に 彼女の悲鳴が聞こえる。

 

「 うわっ! 」

 

我を忘れて叫んでいたパズーに

今度は上から ドサッと大きな物体が

寄りかかって来た。

 

「 おばさん!! 」

 

ドーラだ。

 

その物体は 運悪く石の破片を顔に受け

グッタリと意識を失った彼女の巨体だったのだ。

 

操縦する者のいなくなった機体は、

パズーを乗せたまま、

真っ逆さまに 要塞の外堀へと落ちて行った。

 

 


 

「 パズー!! 」

 

第一の砲撃の雨が止み、

かろうじて目を開けたシータは 必死に

炎と舞い散る砂の向こうに消えた少年の姿を探していた

 

「 ・・ !? ・・ 」

 

だが、

彼女が背後に気配を感じて振り返ると …

 

そこには 炎に包まれた

巨大な手があった。

 

ゴリアテの砲弾の直撃を受けたロボットが

その巨体のあちこちから

炎と体液のような液体を吹き上げながら、

今 まさに崩れ落ちようとしている所であった。

 

「 あ ・・ あ ・・ あああ!! 」

 

だが シータは 死にゆくその哀れな従者に

何もしてやれない。

 

差し伸べられた彼の大きな指に

すがりつくことしかできない。

 

 

死してなお 少女を守ろうと言うのか、

それとも 愛しい王女の姿を見つづけたいと思うのか、

 

ロボットは彼女にじっと顔を向けたまま

自らの体を包む炎に飲み込まれてゆく

 

シータは溢れ出そうな涙を堪えながら、

少年の名前を叫び続けた。

 

 


 

 

風を切る音が 耳に痛い。

 

恐ろしい速さで、

外堀の湖の水面が近づいて来る。

 

「 ぐ ・・ ぐぎぎ ・・・ 」

 

ドーラの体を必死にどかし、

パズーは操縦桿を握ると …

必死にそれを動かした。

 

操縦の仕方などわかるわけもない。

 

( 動け! 動け! 動け!! )

 

だが、このまま何もしないで

水に突っ込むよりはマシだ。

 

「 ぐ ・・ ぐ ・・・ 」

 

待っている少女がいる。

 

自分で誓ったのだ。

彼女をなんとしても助けなくてはならない。

 

ブワアアア!!!

 

少年の願いが奇跡を呼んだ

フラップターのエンジンがかかり、

左右の羽が 猛烈な勢いで動き始めたのだ。

 

水面がまるで爆発したように吹き飛ぶ。

 

猛烈な風で水しぶきを上げながら

パズーを乗せた 昆虫型の飛行機は

凄まじいスピードで 再び要塞の壁へと突き進む。

 

「 あがれぇええ!! 」

 

上昇の仕方などわからない。

 

もはや再び

運を天に任せて

操縦桿を握りしめていたパズー。

 

ぐんぐんと 目の前に壁が近づく。

その時、

 

「 わっ! 」

 

背後から彼の頭をつかむ人物がいた。

 

ドーラだ

 

意識の戻った彼女は

パズーの手と共に思いっきり操縦桿引く。

 

唸りを上げる機体は

一気に要塞の壁を登り、

再び 炎の海へと突入した。

 

 

「 最後のチャンスだ

  すり抜けながらかっさらえ! 」

 

これで失敗したら、

もう シータを救い出す事は不可能だ。

 

「 はい! 」

 

すべてを理解したパズーは

ドーラに背を向けると、

両足を開いて機体の左右にピッタリと当てた。

 

「 パズー!! 」

 

自分達に気付いたシータが、

必死に叫ぶ声が聞こえる。

 

「 いくよ! 」

 

「 よぉし! 」

 

パズーはそう叫ぶと

フラップターの上に下半身だけを残して、

あろうことか 自分を宙ずり状態にした。

 

そのまま まるで鷹が獲物を狩るように

シータを捕まえるようと言うのだ。

 

 

「 シータ!! 」

 

 

炎のはぜる音も、

風の音も何も聞こえない。

 

パズーはただ ぐんぐんと近づいてくる

シータの姿だけを見ていた。

 

そして …

それは彼女も同じ事だった。

 

ざわめいていた意識が、

嘘のように透き通る。

 

パズーの瞳を見ただけで、

彼女の中から

塔から飛び降りる

恐れや不安がすべて消え去った。

 

彼女の足が 塔の石を蹴る。

 

それは絶大なる信頼 …

そして、

自分を助けるために 命を賭ける少年への

彼女の答えでもあった。

 

 

地上で ムスカが悔しげな声を漏らす。

 

宙を舞った彼女を

二度と離すまいとパズーは抱きしめた。

 

そしてシータもまた、

炎の中を飛んでいる事も忘れて、

パズーのお腹に 顔をうずめた。

 

グッと重くなる機体。

 

操縦桿から片手を離したドーラは、

落ちそうになる少年を、

ズボンを掴んで押し止めると、

 

そのまま 炎の海を突っ切った。

 

「 くそぉ ゴリアテ! 何を

 


 

「 なげぇよ! 」

 

「 わっ! … なんだよ イキナリ 」

 

「 ほくまさん! あんた

  このまま ラピュタ崩壊まで

  書く気だったでしょう!! 」

 

「 はっはっはっ!!

  ソトマイヨール君、 なにをバカな事を ・・

  ラピュタ崩壊なんて序の口さ。

  このまま俺は

  事件の後パズーの家にとりあ

 えず帰った二人のドキドキ同棲 

 生活と、親方さん達にお詫びだ

 のいろいろ済んだ後、ゴンドア

 へシータが帰る時の一時の別

 れのラブラブシーンと、二人の

 手紙のやりとりとやっぱり寂し

 いシータが、パズーの家に行

 っちゃう話と、シータのヤキモ

 チの話とパズーの部屋のベッ

 ドの数をめぐる…  」

 

「 ヲイ! 」

 

「 わかったわかった! みなまで言うな!

  悪かったよ!

  お前はソトマイヨールなんて名前じゃなかったもんな 」

 

「 違います!!

  そんな事を怒ってるんじゃないんです!!

  私は そんなありもしない

  ラピュタの勝手な続き

  突然言い出してるあなたの

  フローズンブレインに文句を

  言ってるんです!! 」

 

「 ありもしないだと?

  何をバカな … 俺の脳みそには

 10年以上前から

  この続きはちゃんとあるんだよ。 」

 

「 それが問題だって言うんですよ、それが。 」

 

「 なんだと?

  … じゃあ、俺が毎晩

  ラピュタの続きを考え

 つつ 身悶えながら

 寝る事がゴーツゥー

 ホスピタルレベルに

 ズイマだと言いたい

 のか? 」

 

「 どうして身悶えるんですか 」

 

「 もちろん、

  考え付くのはすべて

  この色のセリフだからだ。 」

 

「 … もうダメだこの人 」

 

「 おら 宮さん!

  お前ここまで描いておいて、

  これから待っているであろう 

  ピンクワールドをごっそり切り

  捨て “おわり” にするったー

  どーゆー了見でいっ!!

  もののけ姫と言い … 

  ラピュタと言い …

  これは俺に対する挑戦だなっ! 

  よかろう! 受けて立とう!! 

  お前が耳をすませばレベルで

  来たとしても

  俺は負けんぞ!

  シータで!!

  シータで世の男性陣

 の、さまよえる脳髄を

 桃缶シロップスープ

 にして

 やらいでか!! 」

 

「 ・・・・ あの素晴らしく完結している物語に、

  どんなもの付けても 蛇足ですよ、ほくまさん。

  やめといたほうが良いですよ … ねぇ。

  ・・・ だいたい、

  いったいどこらへんまで書きたいんですか、あなた。 」

 

「 シータとパズーの

 孫娘のニョッキちゃん

 が隣町の男の子に

 初恋をするあたりま

 で。第一部が 」

 

「 大河ドラマかよ 」

 

2/22(木)

ちとイロイロあって、時間がないので BOOK・OFF問題日記は次回に。

でも明日はラピュタの日なんで、たぶん 次回の次回に。(笑) もへ〜…

追伸:ゼロアスカ、感想メール含めて 反応イマイチ(涙) やっぱり質より
    量はダメっすか。(^_^;) 緊急テクニックで続編に取り掛かり中(笑)

 

2/21(水)

凄いもんで 『 80万超えましたね、どもども m(__)m 』 みたいな日記を

書いてから10日とたたないうちに もう81万5千あたり(笑) いやぁ〜

10日で1万5千人とはいきませんが、(アクセス(浅倉)だしね) “知るひ

とぞ知る小さな住宅街のレストラン” を目指しているくせに、 これじゃあ

行列のできるラーメン屋ですがな。(^_^;) … けれどまあ 嬉しくないわ

けじゃありませんし、 我ながら凄いとは思います。(私の能力とはほとん

ど関係ないのだが(笑)) まあ日に1500ヒットなんてもんは 上を見れ

ばキリの無い世界。 大して凄い事でもないんでしょうが、 そういう視点

で捕らえずに冷静に考えると どえらい事です。 とりあえず自分でマウス

を1万5千回も押したら 筋肉痛になるでしょう。(笑) …そんなこんなで

頻繁な更新こそが、サイトの一番の魅力なんだなぁと改めて感じる今日こ

の頃。 まあ 200万や300万ヒット。 さらにその上を行くようなサイトは

日に3千ヒットとか 4千ヒットとかコンスタントに出している所もございます

が(エヴァ小説界にはあまりないな) そう言ったサイトを製作している人

の労力と言うか… 根性と言うか… 創作精神と言うか… あらためて、

そう言ったものを リアルに 『 スゲェな 』 と感じます。 (ユーザー主

体のサイトは別) まあ 頑張ってもお金がもらえるわけでもないですし、

感想メールや励ましのメールに支えられて、純粋に“好き”でやっている

事とは言え 『 インターネットと言う世界 』 を そういう人たちが、魅力

ある世界たらしめているのも 一つの事実と考えると、感慨深いものがあ

ります。 昔 一部で著名な アストロビスタ氏が 著書の中で、『 NTTは

今すぐに、ミリオンヒットを超えるような超人気サイトを頑張って運営して

いる 日本のWebmasterに 相応の給料を支払うべきだ 』 と言っていまし

た。 確かに彼らがいるからこそ “ネットサーフィン(ホームページ巡り)”

は 一定のクオリティを保つ娯楽として存在できているわけですし、存在

できているからこそ、ネットにアクセスして そのサイトを見るためにNTT

に電話代を支払うユーザーも存在するわけで。 ある意味NTTは 番組

製作をしているスタッフや会社に一切金を払わない NHKみたいなもん

と言えるわけです。(笑)(まあ洒落の極論だけどね) でもまあ NHKが

毎日砂嵐のザーザー画面ばかり放送したり、 同じ番組の再放送を連打

してお茶を濁したりしまくっていたら 誰も受信料なんて払いませんしね。

そう言う意味では 今からホームページを作ろうかと思うような人は 番

組製作の基礎とか、 楽しみとかに興味がある人じゃないと 長続きしな

いような気もする今日この頃。(笑) (というか成功しないから、長続き

しないと言う図式) 自己表現、自己アピールよりも、エンターテイメントに

人気のある時代なんだろうなぁ … 早い話、 みんな自分の事しか考え

てないって事?(笑) いやいや、 そこで止まるのが凡人。 そこを上手

く乗り越えて、 自己表現を エンターテイメント化してしまえば良いわけ

よ。 例えば … この日記みたいにさ。 (笑)


日曜日の秘密基地的半マジメコラム

 

BOOK・OFFに見る、

大量消費メディアの黄昏

 

東京裏古本評論家風:ほくま


第二回: “ いらっしゃいませ ” 考察学

BOOK・OFFが 古本屋業界の弱点に風穴を開けるその目の付け所と、

徹底的な薄利多売を武器に急成長してきた事と、 それ故 古本好き

の私とその周辺で 実しやかに囁かれている 『 クズモノの輪廻転生の

繰り返しで、良いものが店頭に並ばない状態 』 への危機を前回のコラ

ムで語りましたが、付け加える事項として 『 本だけをみてもダメ 』 と

言う事があると思う。 本 … 特に古本と言うものは 『 それを読む人 』

というものも セットで考えねば、 私はその “本質” を見極めて、ビジ

ネスチャンスとして活かす事はできないと考えるのである。

例えば現在の東京における BOOK・OFFの 『 私にとっての 良いも

のが無い印象 』 と言うのは 私が常日頃から “マイナー” と呼ばれ

る作品をメインに、漫画や小説や雑誌を楽しむ生活スタイルをとっている

からに他ならない。 つまり 私が “良いものがない” と思ったとしても

私の趣味と真逆の “私が良くないと思うものが良い” 人にとっては、同

じ店内でも 『 宝の山 』 と感じるであろう。 そして もし 私が “面白

いな” と思うものばかり置いてある店であったならば、 その店内には

私と趣味の似ている人達が 同じように思い 足しげく通ってくる状態が

起ころう。 当然そうなれば 売りに出される古本も “面白いもの” で

あろうし、 私が売りに出した本も 私と趣向の似ている常連客にとって

は “面白い” “読みたかった” ものになると思われる。 つまり、現在

のような超有名作品の残骸の山や、一時の流行作品の残骸の山があ

るBOOK・OFFは それを形成するような客層に支持された結果である

と言える。 これは売り場面積が小さく、陳列できる本が少ない 小さな

本屋などに “店主の趣味” や “その本屋を贔屓にしている町の人の

趣味” が色濃く反映されるのと同じであり、 古本屋と言うものは そう

いった “カラー” が さらに色濃く反映されるものだと私は思っている。

(小さな本屋なのに、とんでもなくマニアックな雑誌が入荷され しかもそ

れが平積みになっているのに驚いた経験はないだろうか?まさしくそれ

である) つまり BOOK・OFFが その広い店内を活かして すべての

ニースに答えるような 究極の古本屋を目指すのであれば、 ただ単に

“マニアックな本の在庫を増やす” のではなく そうした “人の流れ”を

引き寄せねばならないと言うのだ。 逆にそういった人々にも支持され、

足しげく通ってもらい … 前回で書いたような “これはBOOK・OFFに

は損だから売らない” みたいな “選り好み” をされないようなシステム

を導入すべきだ。 そして それは 超有名作を 超有名作しか読まない

人たちが、すべて立ち読みで読み尽くしてしまってからでは 遅いかもし

れないのだ。 ・・・ 実を言うと、この BOOK・OFFの 今までの古本屋

との “カラーの違い” はあまりにも鮮明で、伝え聞くところでは 今まで

の古本屋との間で かなりの問題を引き起こしているらしい。 現に私の

よく行く 顔見知りの古い古本屋のオヤジも、 突然進出して来て、若い

客層を中心に お客をあっと言うまにかっさらって言った 近所のBOO

K・OFFに 相当怒り心頭の様子で、口を開く度にその不満へと話が向

いている。 曰く 『 知り合いの本屋も潰されたしよ 』 『 情緒もへっ

たくれもねぇ 』 『 商売上がったり 』 『 ルールをまもらねぇ 』 など

など … 先日はBOOK・OFFに抗議する団体(?)の 活動要員とおぼ

しき中年女性が店にやってきて 『 ぜひ、この署名に名前を … 』 と

言っていた。(オヤジはもちろん署名していた)  一介の客に過ぎない

私としては BOOK・OFFと 普通の古本屋の双方に 明らかなカラーの

違いを見出せるし、 得意・不得意。 長所短所もまた見出せるので、

“どちらも有効活用させてもらおう” 程度の認識で済むが、 やはり当

事者(しかも敗色が濃い)はたまったものではないだろう。 さらに、これ

はBOOK・OFF以外にも 同じようなタイプの様々で強力な“古本チェー

ン” が存在する東京での話であって、 恐らく 古本屋の数があまり多く

ないであろう 地方においては BOOK・OFF問題(簡単に言ってしまえ

ばBOOK・OFF対普通の昔の古本屋)は さらに深刻であろうと想像して

いる。 ただでさえ 団結し、勢力的に活動する古本屋と言うのも、あまり

イメージが湧かないので … 非常に心配な所である。

このように私は いささかBOOK・OFFに対し、『 猛烈なスピードで、業界

を突き抜けてゆく ワガママな黄色い槍(ヤリ) 』 と言う印象を持ってい

る。 それが悪い事なのか 良い事なのかと言われると困るが、今までの

文章は明らかに “悪い事” と読める書き方である事は否定しない。 し

かしながら 稚拙な案を交えつつ 私があまりに生き急ぐ BOOK・OFF

を “心配” しているのも事実である。 … それは BOOK・OFFの あ

の “いらっしゃいませ” 問題が原因のひとつなのだ。

“いらっしゃいませ問題” と言うのは何かと言うと、BOOK・OFFの店内に

いると 必ず感じる “奇妙な居心地の悪さ” の一つなのだが、 店員が

客に 『 いらっしゃいませ 』 と言うのだ。 … 確かにおかしな事では

ない。 BOOK・OFFに行った事の無い人ならば 『 なにを言ってるんだ

お前は 』 と思われるだろうが、 おっしゃる通り 店員が元気良く、お

客さんに挨拶することな何も悪い事ではない。 むしろ良い事だ。 店に

入っても何の挨拶もなく、 黙って見て、 黙って買う店ほど 嫌な感じで

行きたくないものはない。 確かにその通り。 その通りなのだが、世の

中には 過ぎたるはおよばざるが如し

と言う言葉がある。

BOOK・OFFにおける “いらっしゃいませ” は まさにこの “過ぎたる” 

なのだ。 いや過ぎたるどころではない。 “過ぎすぎ” だ。 … 恐ろし

い事に BOOK・OFFでは 店内に30秒と間をあけずに “いらっしゃ

いませ!!” と言う大声が響く。 “ありがとうございました!” もそう

だが、これが一種独特で … 異様なのだ。 別に30秒間隔で、お客

が店に入って来るのならば良い。 しかし お客が入ろうが 出ようが、

誰も入って来なくても この挨拶は定期的に繰り返されるのだ。 つまり

こうだ。 一人のチーフらしき店員が 何十秒置きかに 挨拶を叫ぶと

まるでヤマビコのように反応して、 他の店員達が挨拶を叫ぶ。 もちろ

ん本の出し入れをしていようが、床の掃除をしていようが、どこにいよう

が叫ぶ。 怖いのは そのチーフらしき人物も 入り口を見ながら叫んで

いるのではないのだ。 つまり “誰でも良い。 店内に何十秒間ごとに

必ず 挨拶の声を響かせろ” と言う状況なのだ。 よって 最初は何も

チーフが叫ばなくても良い。 沈黙と静寂に気付いた誰かが “いらっし

ゃいませ〜!” と叫ぶ。 … と、それに応える 店内じゅうの店員の

声。 もちろん古本とは言え 本屋だ。 読書をしている人々で、店内は

比較的静かだ。 … 想像して頂きたい。 これは “気持ちよく買い物を

する” と言うよりも まるで “延々と呪文を聞かされる苦痛” に近い。

なにせ立ち読みをしている 自分のすぐ横にしゃがみこんで、足りない

本を本棚に補給しているスタッフまでも、 足元を見たまま、しゃがみ込

んだまま 条件反射てきに 何度も何度も何度も何度も 『 いらっしゃい

ませ〜! 』 を繰り返すのだ。 作業の手は動いたまま。 入り口のほう

など見るわけもない。 恐らく あの店内に何時間も居座り続けれいたの

ならば、 天文学的な(笑) 回数 張り上げた声の挨拶を聞かされる事だ

ろう。 それでも平気な顔をして 立ち読みを続けている人は沢山いるが

私などは 『 いらっしゃいませ 』 をあまりにも連続で聞くので それが

まるで別の 『 音 』 に聞こえてきて … まるで頭の中を洗脳されてい

るような気分になって 早々に退散してしまう。 始めのうちは私だけ、そ

う感じているのではないかと思っていたが、 あの柳川氏も “うるさいと

言うより 気味が悪くて嫌いだ” と言っていたので 多くの人がそう感じる

だろう。 (本を売るならBOOK・OFF♪ と言うあのジングルも繰り返し流

すのは ある種 呪術的な、呪文的な 刷り込み効果を狙ってのものだ

ろう。 某宗教団体の選挙のときの歌と同じだ。歌はもともと呪術に使う

呪文から進化したものである) … しかしながら BOOK・OFFは 恐らく

その営業方針と言うか… 会社のポリシーと言うか… まあ そういうも

ので あの “挨拶” をしているのであろうと思うから、 あまり悪く言う

のもアレだ。 けれど 立ち読みOK!を公言している BOOK・OFFが

ある種 作為的に挨拶を繰り返す事によって 『 立ち読みのみの客 』

を追い出そうと考えているのではないかと 疑ってしまうほど、あの挨拶

は 奇妙なものに私は感じる。 … そう思う 内部の人間はいないのだ

ろうか? … と、考えてみると “急成長” と言うキーワードと関連して

私は 『 権力の強い、ワンマン社長がいるのではないか 』 と推理し

た。  そしてその後 偶然私は BOOK・OFFを特集したテレビ番組を

見て … それを確信したのである。(笑)  周囲が首をひねる事でも、

自らが正しいと信じたものは あらかたすべて突き通す。 なまじ、その

中の一つが成功してしまうと、 その自信を 確信に変えてしまい、ひた

すら突き進むタイプの権力者。 … これぞまさに ワンマン社長特有の

欠点である。 流行の言葉で言うなら KSD状態と言ったところか。

“商売の基本は挨拶だ!” とかなんとか叫びつつ、“いらっしゃいませ”

“ありがとうございました” を 一日中 壊れたオウムのように繰り返す

店員達(社員達)を 満足げな顔で見ながら 店の中をウロウロするワン

マン社長。 なんと想像しやすい図式だろうか。(笑) … もちろん単なる

想像に過ぎないのだが、 “社長 ・・ あの挨拶はどうにも変だと思いま

す。…逆に嫌な気分になると言うお客様もいらっしゃいます。” と キッ

パリ意見を言ってくれる側近が(言えるような雰囲気が) ないような気

が、私にはどうにもするのである。                  (続く)

 

2/19(月)


日曜日の秘密基地的半マジメコラム

 

BOOK・OFFに見る、

大量消費メディアの黄昏

 

東京裏古本評論家風:ほくま


第一回:BOOK・OFFの表裏

最近(ここ数年) 急激に市場に台頭してきた 郊外大型の古本チェーン

の 『 BOOK・OFF 』 をご存知だろうか? テレビCMなどでも盛んに

『 本を売るならブックオフ♪ 』 とか言ってるアレである。 ドギツイ黄色

に赤い文字と言う派手なトレードカラーなので おそらく一度くらいは見た

事があると思う。 … と言うのも、このブックオフ。 テレビ番組で特集が

組まれるほどの 急成長ぶりで、不況の日本において まさに破竹の進

撃を続けており、 現在日本でなんと 563店舗。 1990年に一号店が

できてから 2000年の5月で500店舗。 そして 2001年の2月現在

で 563店と言う事から … その急激な折れ線グラフは想像するまでも

ない急成長ぶり。 私が 『 この日記を読んでる人のそばにも あるだ

ろうな… 』 と思ってしまうのも当然と言えば 当然の状況なのだ。

… しかしながら、どちらかと言えば 閉鎖的で連帯感に欠け、一般社会

からは孤立した 一匹狼スタイルの多い 『 古本屋 』 と その集団で

あるところの 『 古本屋界 』 において、 あまりにも異質な、この資本

主義精神丸出しの 『 BOOK・OFF 』 の登場と、その快進撃は、あま

り歓迎されないどころか 数多くの問題を引き起こしているのもまた 事

実である。 … と 言うわけで、社会派コラムとして名高い この日記。

本日は、神田の古本屋小僧こと、日本を代表する古本屋評論家でもある

この私が、出て来た杭を 力いっぱい打ってみようと思う。(笑) もとい、

BOOK・OFFの利点と問題点を考えてみたいと思う。

しかしながら 当然 近くにないので 『 BOOK・OFF 』 に行った事が

ない人も多いと思う。 そこでまず BOOK・OFFとはどんなお店かを、簡

単にご紹介しよう。 BOOK・OFFは 早い話が “デカイ古本屋” である。

漫画や小説、雑誌など 書籍全般の中古の取り扱いをしている。 しかし

ながら 普通の古本屋と違うのは その “規模” だ。 なにせ店の広さ

がハンパではない。 普通の古本屋と言うのは せいぜい店のオヤジが

首をふるだけで見渡せるくらいの小さいものが一般的で、全国的だが、

BOOK・OFFは巨大フロアに 二階建て、三階建てはあたりまえ。 まるで

車で乗り付ける 郊外の大型電気店や、大型レンタルビデオ店のような

感じである。 よって陳列できる本の数も多く、一般的な古本屋では逆立

ちしてもかなわない。 いや普通の本屋でも無理かもしれない。 これは

BOOK・OFFが不況などで倒産した 巨大スペースを持つお店を 安く

買い取り … 改造して BOOK・OFFとして安い資金で新生させている

からであって、 初めから大きな建物を建造したのではない。 大型のパ

チンコ屋や レンタルビデオ店。 飲食店など 建物も“中古”で調達する

ので コストがかからない寸法なのだ。 あなたの町で もし 潰れたパ

チンコ屋でもあれば、 しばらく見てると 黄色の店に変身するかもしれな

い。(笑) BOOK・OFFの特徴は他にもある。 まず “立ち読みが公認

でOKな事” これは驚くべき事だ。 普通ならば 漫画とかを読みふけっ

ていると パタパタと ハタキを持ったじいさんがやってきてイヤガラセを

したり … 『 立ち読みはご遠慮くださ〜い 』 と まんだ〇け や ま

ん〇の森 のように 不健康なオタク店員のやる気のない声が飛んでき

たりするものだが、 BOOK・OFFはそれこそ何時間いようが 何冊読も

うが 何の文句も言われない。さならが “椅子のない無料の漫画喫茶”

状態だ。 出版関係者が見たら思わず “このドロボー!” と叫びたくな

るような客で満載である。(笑) もちろん本にビニールカバーなどは一切

ない。 『 そんなんじゃ、全部読んで帰っちゃう客ばっかりで 商売になら

ないじゃないか 』 と思われるかもしれないが まさにその通り。 私は

死んでもしないが、 休日や放課後などは 延々と居座り ・・ あらいざら

い漫画を読んでしまう 少年少女で溢れ返っている。 町田の帝王こと、

東京低価格漫画評論家の一人でもある柳川氏も、 開店と同時に 子供

達で満杯になる 『 BOOK・OFFの週末現象 』 には驚いたと言う。

『 それで商売が成り立つのか? 』 と 首を傾げたくなることうけあいな

のだが、 もし 成り立ってないのならば500店舗も出来はしないだろう。

私が思うに BOOK・OFFは 『 薄利多売 』 の究極的な典型なので、

とにかく “数” をこなさなくてはならない。つまり100円の本を売るより

も、10円の本を10冊売るタイプなので 10倍の人に来てもらわなくては

ならないわけだ。 そのためには 奇抜なカラーの店や 宣伝だけでは

不十分。 低価格をウリにするだけでも不十分と考えたのだろう。 “あそ

こに行けば、好きなだけ漫画が本が読める” と言う “宣伝効果” で、

例え読み逃げがいたとしても 客が集まるほうのメリットのほうが大きい

証明が 現在のBOOK・OFFである。 100人の立ち読みのひとの中

で 10人が “続きは買って帰って読もう” とか “何時間もいたらか、

3冊くらい買おうかな 悪いし… ” と思えば“してやったり”なのだろう。

そう BOOK・OFFの特徴の最後は “薄利多売” である。 “単なる古本

屋ではなく みなさまの本棚です!” と言う店内放送が、すべてを物語っ

ている。 とにかく大量に古本を集め、 それを大量に陳列して、大量に

売る。 その流通過程で ほんの少し利益と取れば、 最終的には物凄

い金のビックウエーブが出現すると言うカラクリだ。 BOOK・OFFにはタイ

ムセールや 割引サービスが異様に多いのも特徴である。

このようなBOOK・OFFのシステムは 今までのオヤジの趣味の範囲を

出なかった古本屋の常識を完全に覆すタイプの店と言って良いだろう。

しかしながら 一見 『 すげぇ〜な〜 』 と思える この方式、 古本を

よく知る人間から見ると いろいろ 問題があると言わざるをえない。

例えば 古本の流れに沿って見てみると … まず大量に仕入れるので

買い取りの際に本によってあまり “選り好み” をしない。 BOOK・OFF

に本を売ってみると よくわかるのだが、これは売れ筋だから高く … 

これはめずらしいから高く … と言う感じの “本の内容” によって買い

取り値段はあまり変化しない。 一番重要視されるのは “綺麗さ” であ

り、綺麗な本は高く。 汚い本は安くなる。 これは買い取りの際にかかる

時間やコストの問題から “できるだけ簡略化” しているのだと思う。

つまり  ”内容を判断して、的確な値段をつける” ためには そうした能

力のある人材の育成、判断する時間が必要であって 金がかかる。(笑)

それよりも  ”これ綺麗” “これきたねー” で分けた方が 時間がかか

らず遥かに効率的であり、 頭の軽いバイトの兄ちゃんでも可能な作業

だ。 そして 買い取られた本は 綺麗に掃除され、(カッティング)綺麗な

本は定価の半額かそれ以下あたりの値段へ。 汚い本は100円などの

“激安棚” へと行く。 …ここで一つ BOOK・OFFの面白い特徴として、

『 BOOK・OFFで買った古本を そのまま 売りに来ても大歓迎!』 と

言うのがある。 以前BOOK・OFFで買った本であっても まったく気にし

ないで持って来てくださいと言うのだ。 まさにあっぱれな 『 多売 』 

精神。 本が集まるならほとんどの事がOK。 なにせゴミ捨て場から拾

って来たような本でも綺麗にして 格安棚で “商品” にしてしまうのだ。

ある意味では 昔よくあった “貸し本屋” に似ていると言える。 一冊

一日 数十円とかで漫画などを貸し出すお店だが、 BOOK・OFFはそ

の “無期限版” である。 250円で買った(借りた)漫画を、一ヶ月後

に売り(返す)と 10円とか20円とかで買い取ってくれる。 差額を考え

れば 貸し本屋と良い勝負だ。 … だいたい これで BOOK・OFFの

イメージはご理解いただけたと思う。 しかしながら、ここまでなら 『 な

んでぇ、問題ねぇじゃねえか 』 と思われるかもしれない。 確かにその

通りだ。 逆に商売上手と 誉めても良いと思う。 しかしながら いろい

ろなBOOK・OFFを見ていると、 古本評論家としては 大きな一つの 

『 問題 』 に気づく。 そして それは今説明したようなループシステム

の中から 『 起こるべくして起こって 』 いるのだ。 そう BOOK・OFF

の特徴と利点は、 そのまま 弱点でもあるわけだ。

日頃から 古本屋の聖地こと 神田を始め、暇を見つけては東京の古本

屋をうろうろしている私は、 最近 東京でもいたるところに出現している

BOOK・OFFを、見かけるたびに入ってみてはいるが、 他の店と比べて

感じる違和感は 『 品揃え 』 にある。 『 品揃えが少ない 』 のでは

もちろんない。 前述の通りBOOK・OFFの本の数は凄いの一言なのだ。

しかし、ここが “古本” の恐ろしいトコロで、 本と言うものは 数が多け

れば良いと言うものではない。 何よりもまず “欲しい本がなければなら

ない” のだ。 ここからは 私の個人的な推測と意見だが、BOOK・OF

Fは 徹底的なコスト削減のためか、在庫管理と言うか 所蔵品の完全な

“把握” をしていない。(ように見える) 私のような素人が 『 古本屋の

チェーン店の強み 』 を考えるとまず 『 在庫と品揃えの充実 』 を

思い浮かべるが、 BOOK・OFFではそれがなされていないようなのだ。

つまり 『 A店には今日、ドラゴンボールの1巻から10巻が入った 』と

言うような情報を 各店舗すべてをまとめる 中央のマザーコンピュータ

ーなどに記録させ、 『 B店ではドラゴンボールが不足しているから、A

店の余りを こっちに回そう 』 みたいなシステムがない(ように見える)

はっきり言って 日本全国に500店舗もあるのならば、 完璧な売り物

データの把握をすれば 『 ないものがない 』 凄い古本屋ができそうな

ものだが、BOOK・OFFに入るといつも 『 その利点 』 が感じられず

に 首をかしげる事が多い。 … つまり物凄く簡単に言ってしまうと

ロクなもんがない のだ。

あるのは大量に流通している “超有名作品” 漫画を例にとるならば、

ジャンプやサンデーなどで連載されていて、 少年少女誰もが読んでいる

ような作品ばかり。 もちろんそれらすべてがあるわけではなく、その中で

も “人気はあるが、読んでみるとそれほど面白くないもの” がほとんど

だ。 隠れた名作、知るひとぞ知る漫画。 マイナー雑誌に連載されてい

るモノ。 マニア向けの漫画などはほとんどない。 売り場面積は広いが

“金田一少年の事件簿10巻が10冊(笑) 9巻が5冊…” みたいな並び

方をしているので 広くても種類はそれほどないのだ。 確かに それで

も一般的な人々にとっては良いのかもしれないが、 漫画をよく読むオタ

クや マイナー路線を好むマニア。 私を始めとする 非一般人にとって

はそれこそ “立ち読みしたい本もねーよ”と言う状況がしばしば起こる。

漫画だけでなく 文庫の小説やハードカバーの本なども “話題だけで売

った、過去のトレンド作品” が多い。 BOOK・OFFは他にもCDやDVDや

LDなどのメディアも取り扱っているが、 イメージ的にわかりやすく言うと

猿岩石とか やまだかつてないウインク(笑)

とか そういうものが氾濫している “状態” なのだ。(イメージよ、イメー

ジ) … もちろん 全国のBOOK・OFFが すべてそうなのかどうか、私

にはわからないし、 そういうモノ以外の良作も 多くの商品の間に宝石

ようにある場合もある。 しかしながら 東京のBOOK・OFFを他の店と

比べると そういった “傾向” にあると 私と柳川氏の意見は合致して

いる。… 思うに、私は “みなさまの本棚” であるはずのBOOK・OFF

は “みなさまのゴミ箱” になる危ない可能性を 持っているのではない

か?と 言いたいのだ。

そこで 先ほどの “買い取りシステム” が頭をよぎる。 本の内容を重

視しない買い取りは “カチの無い本も カチのある本もいっしょくた”に

してしまう事であり、売る側が損をする場合も 得をする場合も存在する。

例えば “古本漫画の価値のモノサシ” であるところの あの有名な中

野まんだ〇け などに持って行くと 『 これは貴重で人気があるから、

300円で買いますよ 』 と言われるハズの漫画も BOOK・OFFでは

『 汚なめだから100円 』 とか言われてしまう事があるのだ。(もちろ

ん逆もある) これは “本の価値” がわかる人には耐えがたい状況で

あるし、 そうした人が わざわざ損をするわけもなく、 当然 『 どうで

もいいこっちの本は BOOK・OFFに売って、 こっちの面白かったけど

いらない本は まん〇らけに売ろう 』 などと言う輩が登場する。 さらに

このようにして 『 わりとどうでもいい本 』 ばかりの集合体になってし

まった BOOK・OFFには 『 どうでもいい本 』 で満足してくれる客は

来るが、 『 どうでもいい本なんかいらない 』 人は来てくれなくなる。

すると 『 変わった本 』 『 知るひとぞ知る本 』 『 隠れた名作 』な

どは 待てど暮らせど BOOK・OFFには入ってこない。 知るひとぞ知る

人が店に来ないのだからしょうがない話だ。 つまり BOOK・OFFは古本

と言う閉鎖的な世界を破壊し、 大きな世界としてとらえているにも関わら

ず、 一番重要な “品揃え” において、 “つんくプロデュースのCDを

売り、それをまた同じ人から買い取り、 それをまた売り〜〜〜〜 ” と

言う 一種の “閉鎖世界” に迷い込んでしまう危険性を持っているので

はないかと言いたい。 古本を “古いけれど、面白い内容のある 本と

言うメディア” として考えず、 “綺麗か汚いかの紙のタバ” と認識して

いると、 しまいには みんなが “古本で買うんでちょうどいいや、こん

な漫画” “これ、面白くなかったから売っちゃお” と言う “誰かの本棚

から落ちこぼれたゴミ” が 無数に集まる場所にもなりかねない。(続く)

 

2/17(土)

ひぇええ〜!! (@w@:)

俺を殺す気かっ!(笑) … (まあ嬉しい悲鳴でもあるのだけれど)

けどまあ、投稿規程…もちっと詳しく規定しようかしら。(^_^;) (形式その

他)え?バレてる?(笑) うふふ、いろいろあんのよ、おたがいに (^o^)丿

 

2/16(金)

<今日の日記は誰にもわからないので 誰も読まなくて良いです>

事の発端は、昨日の夜1時に シナトラ氏に 99のオールナイトニッポン

をネット経由で聞いてみるべし みたいなメッセージを送った時である。

ISDNのルーター環境になってから、前よりもずっと ネットラジオを聞く事

が多くなった私だが (と言うか、何のファイルもダウンロードしてない時

はずっと流してる) 海外の弱小ネットラジオや 日本のお遊びネットラジ

オではなく、巨大放送局(例えばニッポン放送とか) のネットラジオをスト

リーミングで聞いていると 『 もしかして … これもオプチモッドの音に

してんのかな 』 と疑問が湧いた。 注意深く聞いてみても 音楽が主の

FM局ではないのでよくわからない。そのような気もするし、違う気もする。

そこで 前にも何度かここで書いているが、 ぼんやりと “悪いはずの

FMラジオの音がCDよりよく聞こえるこえる場合がある、心理的な原因”

( 私の最近の研究テーマ: 簡単に言うとオプチモッドの謎と 人間の耳

と心理との関係の解明) を再び考え始めたのだが、ふと試しに “オプ

チモッド” と言う言葉をネットで検索してみたらところ ビックリ仰天!

なんとあの放送局用(業務用)の機材を 個人で購入して使っている人が

いた(笑) … ネットやっててひさびさに驚いた。(^_^;) しかも 趣味で

“ミニFM局を 個人で開局するため” みたいな “まっとうな理由”(それ

でも充分キレてると思う) ではなく、 単にオーディオ装置の一つとして、

様々な音を “オプチマイズド” するためだけに使っているご様子。(笑)

世の中広いと言うか、廃人ってのはやっぱりスゲェなと思いまった。 ま

あ いつかビルゲイツになったら やってみようと思っていた事ではある

が … 実際にやる人がいるったーねぇ … (パラメトリックイコライザー

を入れるのと、またちと違うよな オプチ音の回路は特許技術で、ブラ

ックボックスでわからないらしいし) そのサイトによると、どうやらORBAN

社ではインターネットラジオ用の オプチモッドも新製品として販売してい

るらしく … ネットラジオもオプチ音で独占しようとしているらしい。(まあ

今のプアなインターネット環境じゃダメかもしんないけど 数年後にはわ

からんよな) ニッポン放送のネットラジオが そんなものを使っているの

かどうかは結局不明だったが、“可能性アリ”とわかっただけでも充分で

ある。 … 私の知る限り 最も上品かつ、深みと濃くのある “スゲェ

絶妙なチューニング” をしているオプチ音を放送しているのは、コール

サイン JOAV-FM つまりJ-WAVEなのだが、自宅で素人が(セミプロ)

いろいろいじると言うレベルで あの独特の心地よい音にも なるのであ

ろうか?(職人芸みたいなのがありそうだが) 大いに興味深い。やるか

どうかは別として(笑) だいいちそんな大金あるわけないし。さわってみ

た事すらあるわけがないので、詳しい事はまったくわからない。(^_^;) そ

れと J-WAVEは 使っているマイクもゴイスなので 低音の味が美味しい

あの音質は 一つの機械によるものだけではない。 ちなみに TFM(東

京FM) は最近のポップスを意識してか(カーステも?) かなり下品で、

最近ますます ドンシャリフンワリ系のジャリガキサウンドで救いようが

ない(笑) 土曜日や日曜日の晴れた午前中に フュージョン系の音楽

や 透明度の高そうな歌声の歌手(例えばビリージョエルとか) を流す

とズバッとハマって良いのだが、逆に重い ちゃんとした音楽(JAZZとか

クラッシックとか) は 風呂場でゴシゴシ洗ったみたいな音で イマイチ

である。 なので 私の目下 最大のラジオ界に向けての要求としては、

お洒落系に傾倒して 堕落の一途を辿ったTFMにおいて 唯一昔の良さ

を残している事で 逆に異彩を放ってしまっている 『 アバンティ 』 を

早急に 東京ではJ−WAVEに移植して放送して欲しい。 あの選曲と

あの会話と、 あの雰囲気は J−WAVEの FM放送に対するポリシー

を持っている、 イカシタ技術者達の手で放送してこそ 真の魅力を発揮

できると言うものである。 (ああ… あの放送があの音質になれば… )

とりあえず ビルゲイツになったらすぐに、サントリーからアバンティを買

い取って、J-WAVEに無償で提供するか。 つかJ-WAVEを買い取るか。

つか マッピーの後にアバンティを流しつづける事に疑問を持たない奴が

いる時点で燃えてしまえ>東京FM  … 最後に “読んじゃだめ” と書

いたのに わけのわからぬまま ここまで読んでしまった いけないあな

たのために、 いつか “両生類でも理解できる ラジオの話” でも書こう

かと思う今日この頃。(失礼だな、君) まあ 十年もたたないうちに、ラジ

オなんて言葉は消えて BS経由のデジタルラジオや ネット経由のネット

ワークラジオの世界になるのかもしれんが。 (最後の牙城が通勤ラジオ

ポータブルラジオか。 ポータブルBSラジオ?(笑) 携帯電話内蔵型の

携帯ネット接続ラジオのほうが現実的だろうな)


PS: オプチモッドは本当は オプチモードと言うらしい … ずっとモッド
    モッドと言ってた(笑) 耳年増な知ったかぶり小学生状態で、
    はずかちー(≧▽≦)/ よく知らんもんは ちゃんと調べよう(笑)

PS2:もし“興味あるからもっとこの手の豆知識を話せ”みたいな奇特な
    人のために( 例えば柳川とか )
もう少々。アメリカの放送局をその
    まま日本に持ってきたJ-WAVEの開局当時のサウンドがセンセ
    ーションを起こした時の装置は『8100A OPTIMOD−FM+    8100A XT2+STEREO MAXX+AURAL EXCITER』の2・2
    構成。現在は8100が2台。8200が三台だそうです。そのうち
    8400とか言うのも買うのかしら?音がグレードアップしたら気が
    付くかねぇ・・・ いや、インターネットって ほんとにスゲェわ。